<チンチョンCHINCHÓN> |
2004年8月初旬から中旬にかけ、マドリッドから南へ45キロ、人口5千人の小さな村、チンチョンに
滞在する。 |
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<庭園レストラン ハルディン・デ・コンデッサ Jardin de la Condesa> |
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-夏の夜ー |
涼風の心地のよさに身をまかせ心ゆくまでワインにおぼれる |
El cuerpo confiado
a la agradable sensación
de la brisa.
El corazón
hasta su gozo
en vino se funde.
( Jardín de restaurante)
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夏の宵すずしき庭の片隅で友と語らい気づけば朝に |
プールサイドに涼もとめ恋人と過ごす夏の夜は短かりし |
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閉店時間のなき庭園レストラン客が帰るまで開けておく |
ープールの亀ー |
子どもたちは食事よりもプールでゆうゆうと泳ぐ亀と遊びいる |
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亀は平泳ぎで前進し片手で泳ぎつつ方向を変える |
甲羅を背負いよく泳げるものかなと亀と我の泳ぎを比較す |
<トルティージャ料理実習> |
沸きたぎるオリーブの油にジャガイモを投げ込みたれば悲鳴をあげる |
トルティージャ徐々に固まりよく見ればジャガイモ入りの玉子焼きなり |
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フライパンに炙られいたるわが顔に冷たき水をどっとかけたり |
トルティージャ15個焼けばわが顔も鉄板の熱にひりりと焼かる |
Quince tortillas
hicieran mis manos.
El rostro al rojo
como
plancha ardiente.
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灼熱の調理室より逃げ出して冷凍室に首つき入れる |
Huyendo de la cocina,
puerta del infierno,
me cuelo
en alacena frigorífica.
(Cocina)
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キャベツ洗うモロッコ娘は手が止まる指示されし言葉解らずに |
<カフェ・バー> |
スペインの婦人三人カフェバーでビールの小瓶をラッパ飲み、ああー |
<タベルナ(居酒屋) Taberna> |
チンチョンの地ワイン飲めば目の前が真っ白しろに、これは酔夢や |
Bebiendo
de Chinchón el vino,
ante los ojos campo
nevado.
De embriaguez
el sueño.
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気になる居酒屋の常連にアル中気味の老人の多きこと |
スペインワインに酔い痴れる我もまた他人事ならず量をひかえる |
居酒屋に赤子連れ来て若き女はビール飲みつつおしめ換えてる |
Viene a la taberna
con su retoño.
La joven
cambia pañales
de cerveza entre sorbos.
(Taberna)
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子供を連れし母親は客の一人と踊りだす子供はほっておかる |
スペイン人はよく飲みよく食べるよく話すストレスの溜まるところなし |
夕暮れ時居酒屋より聞こえくる音楽は我を誘うているのか |
居酒屋に若き女・男あまた集いディスコダンスの真っ最中なり |
居酒屋のスペイン女に手をひかれダンスしようと、腰痛なのに |
われの額に4回ベソ(Besoキッス)す若き女は、何の意味かわからねども |
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<レストラン> |
行きつけのレストランの定席にはワインのボトルが我を待てリ |
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老夫婦は声をかけあい肉を焼く息子はにんまりスープはこぶ |
いくら飲んで食べても9.50ユーロなりチップ多くおく |
<雑貨店> |
”今日はない、明日ならある”と店の人、旅行カバンを買わんとすれば |
<文房具店> |
くねりたる小さな村の坂道を登り下りて文房具店をさがし歩く |
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<理髪店・美容院> |
理髪店さがせど見当たらず男はどこで散髪するのか |
チンチョンの婦人の溜まり場の美容院にわれ散髪を頼めず帰る |
<オスタル> |
ー飼猫ー |
オスタルのわが部屋のベッドで昼寝する老猫に言う、”美女に化けろ”と |
A la vieja gata ,
disfrutando la siesta
sobre mi edredón:
“ ¡Princesa, despierta!”
( Habitación) |
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ー仕事場ー |
わが仕事場はテラスの葡萄棚の下の涼しき空間にあり |
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ープールー |
テラスのプールで汗を流しマヨール広場、カテドラルを眺めやる |
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ー真夜中の音楽ー |
真夜中にディスコ音楽流れきて何かと覗けば宿の娘踊りいる |
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ー???- |
夜明け前獣の咆哮の如き声聞こゆれば驚き目醒めぬ |
隣室よりもれる女のエクスタシーの絶叫なりわれ如何せん |
<日本人観光客> |
日の沈みゆくチンチョンに着きし日本人夫婦翌朝パリに発てリ |
日本人観光客は忙しき一泊のみでその地を語るなかれ |
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<テレビ番組・報道> |
日本の漫画は放映されるも日本の政治・経済何もなし |
日本はどんな国と子が問えばドラえもんの国とスペインの母 |
El niño pregunta
sobre Japón.
De Doraemón
el país
responde la madre.
(Madre e hijo)
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ドラえもんスペインにても活躍す日本紹介よろしく頼む |
<サッカー リアル・マドリッド アジア親善試合(東京)> |
リアル・マドリッド得点すればスペイン人は大騒ぎ我は黙する |
テレビ観戦する我の心理状態やや微妙なり |
<帽子> |
46度の炎天下帽子かぶりて歩く人みえず我のみぞ |
麦わら帽子をかぶりて歩けば誰もが”オーラ”と声かけてくる |
<朗吟> |
城跡で放吟すれば散歩人けげんな顔して通りすぎる |
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<満月> |
オリーブの畑は茜の色となり月はかすかな環となり消ゆる |
El olivar
se tiñe de rosicler.
La luna llena,
una línea
que se esfuma.
( Luna llena) |
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<夕立> |
一滴帽子にぽつり鳥のふんかと思えば夕立きたる |
黒雲に夕焼け空は侵略され我は黒雨に襲撃される |
<夕涼み> |
夕闇せまる路地裏は老人たちのだんらんと夕涼みの場なり |
<スペインの女> |
スペインの若き女に魅入りたるも声交わすは妙齢の女ばかり |
女房より授かりし女難除けのじゅ文は未だ唱える必要なし |
<若き男女> |
城跡にいずことなく集いくる若きカップルわれ夜は散歩せず |
村に住む若き男女の結ばれゆけば村は縁者であふれんや |
<サン・ロケのお祭り San Roque> |
ー開始の合図ー |
ささやかに打ち上げられし5発の爆竹1発は地上を走れリ |
ーサン・ロケー |
サン・ロケはするどき顔した聖人にて我が心を読まんとする |
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ーディスコダンスー |
広場でディスコダンス始まりて夜11時より朝4時まで続く |
人あまた集いて身動きできず曲にあわせわれ柔軟体操す |
ブルースに流れ妙齢の女と踊ろうとせしも人波で動けず |
ー古城ー |
古城は花火の砲火を浴び暗闇の中に浮かび上がる |
ー牛追いー |
子牛は闘牛場から退かず若者達を睨みつづける |
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若者達は子牛の角に綱をかけ掛け声かけて綱引き始める |
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ーベセロ Becerro- |
素人の闘牛士は逃げ失せり剣とカポーテを放り投げて |
Novato en la lídia
se escapa por pies.
Capote y espada
sin recoger.
(Becerro) |
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闘牛士子牛に背むけ逃げ出せリ剣とカポーテほうり投げつつ |
横たわる子牛を運ぶ馬2頭1頭の馬の尻より糞こぼれる |
ベセロの地方色豊かな飾らぬこっけいさに親近感もてり |
<露天商> |
早朝よりマヨール広場で野菜売る老婆は一日座っている |
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<スペインの友> |
わが友は元闘牛士を膝に古傷うづく身となる |
Viejo amigo,
en tiempos torero,
a veces siente
removerse de la rodilla
a vieja herida. |
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はく製の闘牛見つめる友の顔に憂いの陰が一瞬走りぬ |
La vista alzada
hacia la cabeza
del toro disecada,
en el rostro del amigo
asoma un instante
una sombra de tristeza.
(Amigo) |
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友はマドリッド空港に迎えに来たり我を2時間も待たせて |
<腰痛> |
目覚めて寝返りできねばベッドにつかまりそろりと立ち上がりたり |
シャワー浴び洗顔すませ時計をみれば目覚めてから2時間が過ぐ |
注射かマッサージか、ちゅうちょなくマッサージをえらぶ整体師は若き女にて |
若き女の整体師は情け容赦なく我の患部をぐいと押す |
腰痛をほぐさんとプールの中で戯れいれば蜂に襲われる |
急ぎ水中に潜りて蜂の攻撃をさける潜水艦の如 |
<エル・シド> |
史実より浮かぶ英雄エル・シドの生涯は強烈なものあり |
スペインの過酷な風土にエル・シドの強靭な精神と肉体が育まれたり |
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<コルメナル・デ・オレッハ COLMENAR DE OREJA> |
チンチョンから Chinchon から6キロ南に人口6千人の村、コルメナル・デ・オレッハがある。 |
<コルメナルへの道を歩く> |
バス、ダンプ猛スピードで迫りくる恐怖に負けてあぜ道をゆく |
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<村中> |
コルメナルの小さな村の歴史にも市民戦争の戦禍残れリ |
Colmenar,
aunque pequeño,
muestra en su historia
las huellas de la Guerra
Civil.
(Historia de Colmenar) |
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昼下がり人気なき路地に踏み入ればギターの音色かすかに聞こゆ |
Aledaños de la tarde,
al pisar los callejones
vacíos,
levemente se escucha
el rasgueo de una
guitarra.
( Callejón)
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<バス> |
バスは定刻より10分早く去れリ次の便まで1時間待つ |
定刻の10分前より待ちしどもバスは1時間遅れて来たり |
<レストラン> |
路角の三角形ののレストランなかに入れば英国調なり |
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英国の雰囲気なるもスペインの郷土料理のうまい店なり |
Con aspecto
de restaurante inglés,
la comida del pueblo
es de primera.
(Restaurante de pueblo) |
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