日本短歌紀行 「おくのほそ道」 彷徨い人 中島孝夫


「おくのほそ道」 松尾芭蕉
おくのほそ道(1) 平泉〜瑞巌寺〜松島〜塩竈の浦〜壷の碑〜宮城野〜雲巖寺 etc.
おくのほそ道(2) 殺生石〜平泉〜瑞巌寺〜松島〜塩竈明神〜雲巖寺 etc.

日本短歌紀行「おくのほそ道」 彷徨い人 中島孝夫
 <殺生石>
毒を吐き
    鳥獣人をも寄せつけぬ
      殺生石には
        悪霊が棲む
 

             

日本短歌紀行「おくのほそ道」 彷徨い人 中島孝夫
 《雲巖寺》
        
















雲巖寺
   仏頂和尚の山居跡に
       腰をおろして
         静寂を聴く
 


    仏頂和尚山居跡へ通じる山路


日本短歌紀行「おくのほそ道」 彷徨い人 中島孝夫
 《雲巖寺》

 
苦吟の女に
    「木啄も」と声かけたれば
       白き面にほほ笑み浮かぶ
  
                     
        
        備考: 木啄も庵はやぶらず夏木立
                          芭蕉

日本短歌紀行「おくのほそ道」 彷徨い人 中島孝夫
 《雲巖寺》
           雲巖寺
               芭蕉偲びて山門を
                  登りつめれば
                     幽寂待てり
 
 

街道の跡にひっそりといにしえを偲ぶ一句の石碑たつのみ
    (宮城野)
  
多賀城碑樹陰にどっしり根づきおり千数百年の風雪に耐ゆ
    (壷の碑)
墓地裏に比翼連理の巨大なる二本の松が今なお聳ゆ
    (末の松山)
入相の鐘の音待てば聞こえくる遊覧船の汽笛の音が
    (塩籠の浦)
赤松の幹を穿ちて虫喰らうキツツキがいる冬日の中に
神馬とは神につかえる馬なれど我が目の前に人参ねだる
灯篭の新造されし扉にも勇義忠孝の「和泉-」の文字あり
    (塩籠明神)
一望に松島見んと高台に雄島の磯は朝もやにけぶる
    (松島)
早朝の五大堂には霊気あり方形の屋根にしばし見入る
    (五大堂)
金箔の壁の装飾あざやかにこの寺にして輝くをみる
    (瑞巌寺)
2003年12月